2025/07/26
SER 2025(米国ボストン)にてポスター発表を行いました(浜崎)
2025年6月10日〜13日にアメリカ・ボストンで開催された Society for Epidemiologic Research (SER) Conference (https://epiresearch.org/annual-meeting/2025-meeting/) に参加し、ポスター発表を行いました。
SER Conferenceは、世界各国の疫学研究者が集う国際的な学術会議で、今回が初めての参加となりました。
初日は、複雑な曝露や介入に対して柔軟な因果推論を行う方法に関するワークショップに参加しました。Dynamic Treatment Regimes、Modified Treatment Policies(MTPs)、Stochastic Interventionsといった手法について、Rパッケージを用いた演習を通じて学びました。発展的な内容で、その場では十分に理解しきれなかった部分もありましたが、専用Webページに分かりやすく整理された教材が提供されており、今後復習を重ねて理解を深めていく予定です。
2日目以降は、さまざまなシンポジウムや演題発表が行われ、全体的に方法論に関するセッションが多く見受けられました。中でも印象的だったのは、疫学研究の実践に大きな影響を与えてきた6つの論文を著者自身が紹介するセッションや、単一のデータ用いた場合に生じる方法論的課題への対応策として、複数のデータを活用する最新手法とその限界について議論されたセッションです。
方法論以外では、実装や社会的実践に関するセッションもあり、特に「Finding your public voice: Leaning into advocacy and engagement」というシンポジウムでは、研究者が社会にどのような形で関与できるかについて活発な議論が交わされました。プレゼンターの先生方が共通して「何のために研究をしているのかを常に意識している」と語られており、学術的活動だけでは社会に変化をもたらすには不十分であるという視点が共有されていました。私も常に考え、行動に移していきたいと感じました。
オーラルセッションでは、IV forestやsequential analysisを用いて効果の異質性を検討した発表が特に興味深く、今後の自身の研究に活かしていきたいと思いました。
ポスター発表は、1時間にわたりポスターの前で説明・議論を行う形式で、会場全体が活発な意見交換の場となっていました。私は博士課程で取り組んでいる研究「新規要介護認定者における入院予防に対する訪問診療利用の効果」について発表し、参加者からの質問を通じて有意義な議論を行うことができました。
滞在中は学会参加に加え、Harvard T.H. Chan School of Public Health やその周辺を訪れる機会にも恵まれました。学生から一流の研究者まで幅広い方々と交流することができ、世界中の研究者の熱意や研究の質の高さ、そして海外で活躍されている日本人研究者の姿に大いに刺激を受けました。今回の経験を糧に、今後さらに研究に励み、日々研鑽を重ねていきたいと思います!
博士課程4年(パブリックヘルス学位プログラム) 浜崎曜子